群馬県高崎市のリフォーム・リノベーション

事業企画部門

No.13 炎

投稿日:2017.12.07

擦過音と同時に、ゆらめく
父に教わったマッチの擦り方で、火をつけた
ゆらゆら、ゆらゆらと生まれた火は
何も知らずに ぽとり 落ちて消えた

 

 

No.13 炎

 

人間は、火を怖がらない動物である
というのはうそだ。
火と共に、慎重に慎重に歩いてきた動物である。
海ばかりの冷たい大地のなかで
ちっぽけな存在が擦過音と共に生まれた。

 

火は明るい光となって前を照らし
寂しい心にあたたかさを与え
燃える怒りを纏って舞い
愛、という見えない想いを指先に伝えた。

 

私たちの足元で動く炎と
火の粉のような私たちは繋がっている。

 

もう一度、慎重に
今度は理科の実験の時教わったやり方で ろうそくに火を灯す
息を吹き返した音が聞こえるよう
炎はろうをなめ 汗をたらすように めらめら 
触れたら火傷してしまうような熱の中に 懐かしい面影を見た

 

「ハッピーバースデー!」 祝うロウソクの炎
「あーあ、落ちちゃったね…」 消えてほしくなかった線香花火
煙草を吸う彼の 指先の明かりも、優しい母のスープのあたたかさも
赤々と燃える炎があった。

 

炎は遠いものじゃない 

 

遠い遠い国の聖火が私たちの心に熱を灯すように

揺らめく心の中に、ちらちらと光るものだ。

 

どれだけ熱いのか、確かめてみたくて火を消した
途端にかたく、つめたく、冷え切ったろう
取り戻せない熱が怖くて、もう一度マッチを擦る

人が炎を見るのが好きなのは、
自分が炎であると知っているから
あの子の炎を消したくないから

 

目の前のロウソクを見ながら、文字を書く

「果たしてこの炎は、どこまであたためるだろう」


≪今回の言葉≫
*暮らし/住まい/家/インテリア/リフォーム/リノベーション
*物語/本/食/衣/旅/出会い/思考/文化/芸術
*ロウソクを探してつけた。平和も戦争も命も死も愛も、そこにあった。