群馬県高崎市のリフォーム・リノベーション

事業企画部門

No.02 喫茶店

投稿日:2017.06.14

 

 

 どうしてパパは、コーヒーばっかりのむの?
 なんでかなぁ。好きだからかなぁ。
 変なの、こんなに苦いのに。

 

 

No.02 喫茶店

 

 

あなたが、初めて珈琲を飲んだ時。
それから、初めて珈琲をおいしいと思った時。
私はなんだかその瞬間を、大人になった瞬間、のような気がしている。

 

初めて飲んだ時の、苦み。
そのあと、無理して飲んだりして。初めからおいしかった人もいるみたい。
私は苦手だったなぁ。
それからだんだん美味しくなる。
ここが、珈琲の不思議なところだ。

 

好き、嫌い、って色々あるけれど、
ビールだったり、セロリだったり、わさびだったり、ピーマンだったり。
嫌いから苦手へ、苦手からフツーへ、フツーがふとした時に

好きに変わるんじゃないかと思う。

 

 

 パパも小さい頃、大人はみんな変だーって、思ってたよ。
 きゅうにかわったの?前はココアがすきだった?
 そうだね、おんなじ。ココアが好きだった。
 ふぅん…。おいしくなくなっちゃうのかなぁ、ココア。

 

 

そろそろ春も薄らいできたようで、じわじわと夏が近い。
身体はまだ追いつけておらず、蒸れた空気が体内にまで入っているようだ。
すっきりしない、日曜日の朝。
春にも縋れず、夏にも追いつけない私は、カランと扉を開けて喫茶店へ逃げ込む。

 

私は、コーヒーが好き、というわけではない。
どちらかというと紅茶好き、だろう。
それでも、喫茶店へ来ると、マスターを見ると、つかい込まれた椅子へ腰かけると
深い豆の香りをさせる”珈琲”が飲みたくなってしまうのだ。

 

苦いのに。

 

 

 ママもね、好きなんだよ。
 コーヒー?
 そう。きっと、だから、好きになったんじゃないかな。

 

 

水出しの、アイス珈琲。
ゆっくり大事に落ちてきたしずくが、珈琲色に染まっている。
すっきりとした飲み口は、身体に籠った熱にちょうどいい。

 

 

どこの喫茶店でも、マスターは優しく、珈琲を語ってくれる。
お気に入りの珈琲を見つけてくれたのも、受験を励ましてくれたのも、話し相手になってくれたのも。
全部あのカウンターの向こうから、だ。

 

『あ、氷。豆のカタチしてる。』
『ほんとだ…しかも珈琲色。きれいだね。』
『あ、もう気づいてくれたんですね。うれしいな。溶かしながら、飲んでみてください。』

 

マスターの心遣い、可愛い珈琲豆をかたどった、大粒の氷。
ゆっくり味わっても、ずっと続くおいしさ。

 

 

あなたが、始めて喫茶店に入ったとき。
それから、この時間を味わえるようになったとき。
私はなんだかその瞬間を、大人になった瞬間、のような気がしている。

 


 

≪今回の言葉≫
*暮らし/住まい/家/インテリア/リフォーム/リノベーション
*物語/本/食/衣/旅/出会い/思考/文化/芸術
*珈琲/喫茶店/場所・時間の共有
*自宅近く、日曜朝の時間をくれた喫茶店