群馬県高崎市のリフォーム・リノベーション

人と事業への想い。

株式会社正和 ブログ

エッセイ No.09 温泉

一足先に、紅葉が到着していた。
うねうねとした道を車で走ること、2時間半。
群馬の名湯、出で湯の街へとやってきた。



No.09 温泉

地面に立った瞬間に、五感が伝えることがある。
地熱と硫黄で滾る温泉。高い山々と巡る湧水の冷涼さ。
「たまごのにおい」とも言える硫黄臭は、好き嫌いが分かれるそうだ。
確かに、湯にざぶんと浸かるまでは慣れそうもない。

坂をくだりて街へゆく。
見慣れた看板が茶色に溶けていくのを見つける。
ここは非日常の街。温泉街。
だんだんと湯けむりが近づいてきた。

あまりにも美しい色が飛び込んできたものだから。
私は、この色を伝えたかった。

街の中央というのがふさわしい湯畑は、湯の花が咲く。
ナイルグリーンの水面は、日本的な透き通った美と、
まるで知らない外国の、遠い海、遠い空、遠い町の青を思わせる。
吹きあがる湯気はすべてを包み、気が付けば湯に浸されていた。

共同浴場、町の温泉、隠れた名湯、薬のいで湯。
どこに行くときも、人はみな、極楽を目指している。
武器も持たず、今日を嘆くでもなく、明日を憂うわけでもない。
お隣さんに冷え者ですが、と入ってきた日本人の心は
古代ローマからジンが飛び出すアラブの国まで、同じ湯に溶けている。
仏教において貧しい者や囚人にこそ湯が進められたのは
その効能が人の芯へと届くからだろう。
じんわり、じんわりと熱が私を解いていく。

車が走り、レールが敷かれ、ずいぶんと地球は狭くなった。
そのおかげか、日帰りで湯を楽しむ人も多い。
一日だけの特別な体験は、日常を見る目も住ましてくれる。

暮れに灯る家明かりを、坂の上から見下ろした。
街全体を包む“湯”は芯まで満ち、鼻はすっかり慣れていた。


≪今回の言葉≫
*暮らし/住まい/家/インテリア/リフォーム/リノベーション
*物語/本/食/衣/旅/出会い/思考/文化/芸術
*急な冷え込みとあたたかなもの。同じ湯舟に浸かる交流は、現代に残る最もはじっこの、あたたかな交点。

| http://a-showa.com/blog/index.php?e=159 |
| Information | 05:24 PM | comments (0) | trackback (x) |
エッセイ No.08 台風
少しだけ、強くなった風。
暖かくて重たい流れの中に、夏の残りを見つける。
秋と夏のさかいめの時間、台風到来の前日。
いつもより赤々と、不安にさせる色で、太陽が沈んだ。




No.08 台風

外に出ちゃだめよ、と言われても、長靴を履いて飛び出した。
体中をぶわっと気流が包み、町は静かで、リビングのテレビはつけっぱなし。
そんな台風が、私は好きだった。

外に出てはいけない、軽やかな風と対照的な、残酷な爪痕。
獰猛な怪物を内に秘めた回転は、あっという間に命を奪う。
そんな台風を、私は怖がった。

「明日はたいふうがくるので、休校です。」

押し入れ探検とごはん前のつまみ食い、夜中にこっそり読む本に似た感覚。
イケナイこと、の引力で台風はまわっている。
ぐるぐると回転しながら進むそれは、困った気持ちと好奇心とをかき混ぜて
私は胸が一杯になってしまう前に、たまらず外へ飛び出した。

あれから数年、大人になった。
朝のニュースをじっと見る人、明日もこの電車に乗れるのだろうかと駆け込む人
きちっと決まった時間の中で進む社会は規則正しい行進を続けていて、
列をはみ出す台風は、仲間外れだった。

明日も同じ明日が来る
それがイイコトになったのはいつからだろう。

ベランダから、今日の終わりを見つめる。
あれほどわくわくして、怖かった台風は、モニター上の白い丸でしかない。
知るという武装。
慣れの鎧に包まれたのは、重たい身体。
その体のてっぺん、気が付けば頭には、カタコトカタコトと電車が走っている。
規則正しい音を立て、規則正しく私を走らす。

台風の風は、どこから吹いてくるのだろうか。
私はまだ、気が付かないまま。



≪今回の言葉≫
*暮らし/住まい/家/インテリア/リフォーム/リノベーション
*物語/本/食/衣/旅/出会い/思考/文化/芸術
*夏の終わり、見送りの風。形なき流れに色を付けるのはあなた、発生源はすぐそこに。

| http://a-showa.com/blog/index.php?e=158 |
| Information | 05:25 PM | comments (0) | trackback (x) |
【社長ブログ】想いは必ず実現:将来のオフィス
先日、セブンイレブンの1号店オーナーの講演記事を読みました。
そこには「(本当の本気の)想いは必ず実現する」と書かれていました。

当社は約10年前に、私と職人さんの2人で実質再スタートしましたが、
その時に「必ず若い人がたくさん集い、活気に溢れる会社にしたい。
また、Cafeみたいなショールームもつくりたい」と思い、幸運にも
実現できました。

先日の夏休みに、私はポーラ美術館を訪れましたが、その素晴らしい建物を見て、
近い将来、この写真のようなオフィスを作り、更にたくさんの人が
生き生きと対話を重ね、創造性溢れる仕事をしていく環境を実現したいと
思いました。
また、できれば印象派の本物の絵など飾り、毎日美術館に通うような気分で、
たくさんの方と素敵な時間を共有できればと願っています。









| http://a-showa.com/blog/index.php?e=157 |
| Information | 11:09 AM | comments (0) | trackback (x) |
【募集中】リフォーム担当者・詳しくは採用情報をご覧下さい


| http://a-showa.com/blog/index.php?e=156 |
| Information | 03:33 PM | comments (0) | trackback (x) |
エッセイ No.07  特別編-グラス
多くの出会いの中から、一つ。
素敵な作品との物語を、お話します。
”暮らし”の中には、物語が潜んでいる。
あなたも周りを見渡せば、ほら、そこに。




No.07 特別編-グラス

この国では、大事に使われたモノに神が宿るという。
使い手の記憶を持ち、特別な時を共に過ごしたモノたちは、
想えば時を巻き戻し、不在の者を顕現させ、多くの事象を語る。
例え機械的な生産、消費されゆく暮らしの中でも、
いのちを持たないモノたちに想いを重ねる文化は生き続けている。



特別な日には、特別なものを。
想いを込めて、自分の手で。
あの人が生み出す作品が、好きだ。
モノは、目に見えるスガタと目に見えないカタチをもっている。
ハンドメイドやオーダーメイド、あなたのためだけのあつらえ品は
近年、大きな価値を備えた(または価値を備える余白のある)モノとして、再注目されている。



出会いはちょうど、出来立ての「ヒトハコ」だった。
オーダーメイドを扱う会社で、ハンドメイドの作品に出合う。
サンドブラスト、という言葉が絵を想起させることは難しいが、
ガラスに砂粒を当て、彫るようにして柄を写した作品は、
すりガラスのような、シーグラスのような柔らかさと繊細さを持っている。



グラス、は特に記憶を持ちやすい。
あの時の乾杯、あの日の記念日、あの場所での出合い。
割られずに残ったグラスは、熱い口論を鎮める冷たい飲み口の記憶を持つかもしれない。
特別なグラスを使う日、私たちは交わり、想い、心が揺れるのである。
それは不思議と、砂粒がガラス面を打ち付けても、やわらかな線を描きだすように
時と共に、やわらかく懐かしい香りの記憶となっていく。

作り手は、遠い未来の誰かの時のために、作品を作り上げる。
使い手は、そんなことは知らないままに、自分の時を重ねていく。

向き直って、グラスに問いかける。
どんな時間を、想って生まれたのか
どんな時間を、注がれるのか
突然幕が上がる出会いの物語は、あなたのストーリーかもしれない。



≪今回の言葉≫
*暮らし/住まい/家/インテリア/リフォーム/リノベーション
*物語/本/食/衣/旅/出会い/思考/文化/芸術
*透き通ったガラスのきらめき、込められた温もりを見つけて
作品提供  サンドブラスト作家:Chie
現在ショールーム内で展示販売中です、ぜひご覧ください。

| http://a-showa.com/blog/index.php?e=155 |
| Information | 03:55 PM | comments (0) | trackback (x) |